意味 |
庭園の一部に、生垣を複雑に組み合わせて迷路をつくり、中心部のゴールを目指す遊びの施設。メイズは生垣迷路、ラビリンスは建築構造物すなわち迷宮を指すとする説や、メイズは各所に障害を設けて順路を誤らす工夫をこらした迷路であり、ラビリンスは単に錯綜するよう仕組まれた曲路であるという区別があるが、厳密な区別をせずに使われている。ただメイズはゴールについたあと同じ路を戻るが、ラビリンスは中心部のゴールについた後、別の路を通って出口に出られる違いがある。迷宮は元来エジプト王家の墳墓を隠すために設計されたのが始まりだが、後これが庭園の施設として表現されたのが迷園と思われる。すでにローマ時代には庭園装飾として用いられたらしくポンペイにはCasadel Laberintoと名づけられた邸宅さえあった。12世紀初めよりは、キリスト教会の大理石の床に迷路模様がつくられたり、芝生上に迷路が刻まれたりし、罪深い迷いやすい信徒の象徴として、あるいは罪を贖(あがな)う道具として宗教的にしきりにつくられた。舗床迷路、芝生迷園に次いで花壇の流行と共にイギリスチュ一ドル期以後、花壇迷園・灌木迷園が、そして刈込み樹木で造られた生垣迷園がつくられ、16?17世紀には大流行した。ヴェルサイユ宮苑内につくられた迷園は、イソップ物語を表した39の彫刻が動物の口から噴出する水で演出されていたし、現在も残るハンプトンコートの迷園は清楚な対称形で無駄がなくゴールには2本の樹と樹下にはべンチが置かれた全路長およそ0.5マイルにも及ぶものである。19世紀後半、醜悪な児戯と評する者も出て、公園や遊園地以外には造られないようになった。針ケ谷鐘吉の「迷園発達史」(「庭園と風景」昭和7年1月号)にメイズとラビリンスの違いが詳述されている。 |