造園用語集

室町時代の庭園


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む

室町時代の庭園

項目 室町時代の庭園 / むろまちじだいのていえん
英語 -
意味 禅の庭、枯山水(かれさんすい)などと一般にいわれて、わが国伝統庭園様式の特色のーつと思われている、この時代の特に京都を中心とする禅宗寺院の書院や方丈の庭である。日本庭園独自の技法といわれる石組を十分に発達させたのもこの時代である。普通、禅の思想を表現したものとして、禅の庭が説明される。しかし、不立文字(ふりゅうもんじ) と結跏趺坐(けっかふざ)を特色とする禅宗の教義には、浄土憂茶羅(まんだら)のように、特定の形式や造形が説かれてはいない。したがって、禅の思想によって一義的に庭園化したものとしてみるよりは、以下に述べるような多方面からの条件が複合的に作用した結果、いわゆる禅の庭が形づくられたとみる方が妥当と思われる。禅院の立地条件は山麓傾斜地で、水利上も敷地規模からいっても、広大な池泉を構えるにふさわしくない。禅院の建築様式であった書院造り形式では、開口部が狭く、庭に対し一対一で対面する形での庭になる。したがって高い注視密度に耐え得る緻密な立体的絵画的構成、すなわちー幅の絵のような庭園構成が求められた。こう した必然性の下に、当時、宋の水墨画や盆石・盆栽に見られる尺寸に宇宙をみる式の象徴主義や、禅の精神面重視の考え方とも関係した山水論における残山剰水(ざんざんじょうすい)の方法が総合的に影響し合って、観念的な世界を石組中心に構成したこの時代の典型様式が形成されていったとみるべきであろう。なお、残山剰水とは、山や川の残った部分の意味で自然の広大な景色でなく、その一部の小さな眺めを描いた山水画法のことで、狭い庭園の中に様々の山水局部を表現する作庭技法に展開したものと思われる。こうして、遠近法や巧妙な布置構成によって、大自然の縮景や象徴化が高度な完成をみることになる。例として龍安 (りょうあん)寺方丈庭園、大徳寺大仙院庭園、同真珠庵庭園、妙心寺退蔵院庭園、同霊雲院庭園など。→ていえんけいしき →かれさんすい
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