意味 |
墓園として一定の標準に合致し、造園的な配慮を行った空間を計画すること。市街地に近接することなく緑豊かな、静寂な環境のなかで、安らかに眠る先人の霊を敬慕する場所として墓園を設けることが原則であり、これを計画の基本理念としたい。(1)位置の選定:立地する市町村の将来計画、土地利用計画との整合が得られ、都市の緑地計画の一環となる位置に計画する必要がある。その計画地は、緑豊かな土地であるか、もしくは修景容易な土地であり、地形の傾斜度30%以上の急傾斜地を避け、造成および設計の容易な場所で、将来拡張を見込めるような土地であることが望ましい。また、地形の造成や地物の変ぼうにより周辺部や下流部に支障が生じないこと、しかも付近の病院その他医療施設から望見できないか、容易に遮へいし得る位置であることを条件とする。(2)計画の前提:計画に先立って計画地の自然的、社会的、歴史的、景観的諸条件を十分調査・分析・評価し、立地する地元住民や地方公共団体のコンセンサスを得るための資料作成を行う。規模については、乱雑陰惨な墓地イメージを避け、景観構成上の配慮などから民営・公営にかかわらず5ha以上の面積規模を有することが望まれる。1959(昭和34)年5月、建設省から都道府県知事宛の「墓地計画様準」によれば、最低10haとしている。なお、納骨堂形式を採用する場合は小規模でも良い。(3)規模算定:都市規模、運営方式、設置主体その他諸条件によって異なるが、算定式の一例を以下に示す。M=C×A×(N-B) M:求める墓園面積、C:園地・広場・建物・植栽地などの係数、一般的にC=3、A:墓所面積(1か所4m2以上で6?8m2が標準)、N:その市域に本籍を有する戸数、B:Nのうち墓所をすでに所有する戸数。(4)施設配置:施設を大別すると、墓所・園路・広場その他管理施設、緑地・園地などの修景施設となり、墓所、管理施設、修景施設の比率は、3:2:5を標準とするが、平地で計画する場合は、3:3:4でも良い。墓所の標準面積は、芝生墓地、森林墓地、壁墓地など墓所形式によって差異があるため規格化はできないが、一般的墓所については4m2を最小とし、6m2、8m2、12m2などで構成する。墓域や墓所列区による構成にあたっては、宗教的、地域的特性、かろうとの設置方法などを配慮する必要がある。園路は、その目的により主要幹線園路、幹線園路、補助幹線園路、参詣路を含む通路の4種類をもって構成するが、墓園規模、地割り計画などによって上記4種類に固執する必要はない。主要幹線園路は並木植栽などによって方向性と修景を、幹線園路にはランドマーク的な植栽などによる修景を行う必要がある。参詣路の幅員は1.5m以上であることが望ましい。管理施設は、門・柵などのほか、事務所・休憩所・便所・水汲み場・ごみ捨て場・駐車場・広場等を最低限必要とする。その他必要に応じて葬祭場(斎場)・集会所・納骨堂等を設ける。修景施設としては、墓地の静寂さを保ち、外部との遮断をはかるため外周部に相当幅員の植栽帯を設け、内部園地には豊かな緑を創出し、快適さ、明るさを表現する植栽を、また参拝者などのために庭園・花壇・池・流れ・噴水・彫刻・パーゴラ・モニュメント・記念碑を計画する。→ぼえん |