意味 |
壁面あるいは壁体の上部につけられた吐水孔(水口)から、前面の水盤や整形池水面に放水する形式の西洋庭園施設。イタリアの僧院にあったlavatory(洗濯場)の型を模したとも言われるが、テラスの多いルネサンス期のイタリア式庭園で多く用いられた。わが国では、洋風住宅庭園の点景施設として用いられ、その後1923(大正12)年関東大震災の復興計画によって設置された多くの復興公園の主要な意匠として、パーゴラと壁泉を軸線上に対置する形式で多用された。なお、大仕掛けのものとしてはイタ リアのマジョーレ湖上にあるイソラベラ(VilIa Isola Bella)上部庭園が著名。壁体・水口・水盤が壁泉の要素であるが、それぞれの位置、材料、形によっていろいろなデザインがつくられる。壁体は、建築物の外壁をそのまま使ったり、土止め擁壁を使ったり、低いコンクリート壁を立て背面を植裁で隠したりする。水口は、女性や子どもの顔やライオン・羊・鹿などの首、タツノオトシゴ・ペリカン・パン神などで、ブロンズ製・テラコッタ製・陶製などがある。水盤あるいは池泉は、れんが・タイル・鉄平石・化粧モルタルなどを用いて、壁体と一体的につくることが多く、形状は整形的で、あまり深くないものにするのが普通。庭園内では、一方の端の中心や階段正面に配置して園景の焦点となるようにするのが効果的である。 |