意味 |
建設事業にかかわる品質管理とは、設計書・工事仕様書に示されている規格を十分に満足するような品質の製品を、最も経済的につくり出すために、その工事のすべての段階において統計の理論・技術を応用していくこと。すなわち、統計管理手法により品質の管理を行うことである。設計図書により、工事の目的物の形状寸法とそれに要する材料の形状・品質等を把握することができる。また仕様書によって、出来上り目的物の品質規格、およびその品質の製品とつくり出すに必要な施工法・機械などの詳細についての工事発注者の技術的意図を知ることができる。すなわち、工事仕様書は技術的意図を明らかにした契約関係書類である。建設工事の製品は、製品として出来上がってからでは検査ができないもの、または、出来上がった後では手直しが不可能なものが多いので、工事途中において検査する必要上発注者側からの監督が必要となる。監督者は、工事請負人に材料仕様書に記載された品質管理の対象事項について品質試験を行わせ、また材料については検査を行い、検収後に使用させる。検収後でも、材料に変質など生じた場合は再度検査を行い使用させる。造園工事特に植栽工事においては、自然材料を使用するため発注者の技術的意図に従い工事を完成させるために、加工材料、工業製品を使用する工事と異なった品質管理が必要となる。植栽工事における一般的事項として枯死についての暇庇(かし)担保を課している場合が多くみられる。樹木などで植物材料については検収後でも仮植えなどの保管養生の管理を適正に指導するなど、いずれにおいても十分な管理が行われるように請負者側と十分連絡をとって行うことが必要である。検査には、出来高検査、構造機能検査、品質および材料検査がある。材料検査は確認、試験、照合の三方式で行われるが、造園工事における植物材料関係の樹木・株物・芝・草花、植栽保護材料、土壌および土壌改良剤、肥料、農薬などは確認によって検収される。品質管理には、管理図を使って、製造工程を解析したり、これを安定な状態に管理する管理図法がある。管理図は、製造工程が安定な状態、工程に異状が起こっていないかどうかを判定するものであり、また、安定した状態に保つために用いるものである。管理図としていろいろな種類のものがあるが、代表的なものにx-R管理図がある。この管理図は、長さ・重さ・時間・強度等のデータが計量値である場合によく使われ、平均値の変化を管理するz管理図と、ぱらつきの変化を管理する R管理図から成っている。異状原因と偶発原因の二つのばらつきを区別するために,平均値を中心線とし、その上下に管理限界線を設定し、い くつかの資料データを組分け整理して点を打ち、プロットした点が上下いずれかの管理限界線外にとぴ出している場合は、工程を異状があったものと見なして原因を追求して処置しなければならない。管理図は、縦軸に工程の変化を示すデータを目盛り、横軸に製品番号、製造年月日をとり、製造した月日順に点を打っていくのである。また,品質特性が規格値をある許容範囲で満足しているかどうかはヒストグラムによって調べる。測定値の存在する範囲をいくつかの区間に分けて、その区間に属する測定値の出現度数を柱状のグラフとして示したものがヒストグラムである。品質特性としては、最終品質に影響を及ぽす諸因子のなかから、できるだけ工程の初期の段階に結果の判明するような測定を選ばなければならない。 |