造園用語集

ヒューマンスケール


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ヒューマンスケール

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項目 ヒューマンスケール / ヒューマンスケール
英語 human scale
意味人間的尺度のこと。科学技術の発達、都市の膨張などにより、人間のつくる都市、建築物、交通機関その他のスケールが、人間的なものをはるかに超えてしまい、人間の身体から心理まで無視した、いわゆるアウトオブスケールのものになっている。この状況の見直しのため、親密性の深いヒューマンスケールの問題が各方面において論議されるようになった。本来、建築・造園および一部の土木の分野では、ヒューマンスケールを基調として設計されてきたが、巨大さ、速度および実用を求める機械時代がこのことを目立たなくしていたのである。スケールは、長さ、広さ、重さを客観的に測定するための尺度であり、尺・坪・フィート・ヤード・エーカーなどは、人間寸法や人間の働きに対応しているが、メートル は、地球全周に基づいた単位であって、人間の寸法とは関係がない。モデュールはもともとギリシア神殿の設計に使われたプロポーションをつくる基本概念であり、日本の大工の用いる木割りも同じである。ルコルビュジェ(Le Corbusier)の提唱した有名なモデュールは、人間寸法の調和と比例を基調としたスケールであるが、数値が細かすぎて実際には応用し難い。長さのスケールとして、建築では2、4、8、16、32といった倍数モデュールから、2n×5を基調にしている。例えば、24×5 =80cmにより、部屋寸法の最小単位を2.4mとする。造園では、江山正美が一歩の歩幅60cmから、1.2と2.4mの直角格子で敷地を分割して設計することを提案した。都市の近隣住区の大きさについては、800m×800m、1,200m×1,200m などペリー(A.Perry)、スタイン(C.Stein)、グロピウス(W.Gropius)らの多くの研究があり、日本では1,000m×1,000mの範囲を一応の標準としているが、いずれも、歩いて6?7分以内で中心の小学校や近隣公園に到達し得るヒューマンスケールを目途としている。都市広場については、ジッテ(C.Sitte)、リンチ(K.Lynch)らの研究によると、建物の高さに対して、広場の長さあるいは幅との比を、1:2、1:3、1:4などの数値を提唱しているが、建物の観察の程度、あるいは囲まれた内部の人間の心理を基にしたものである。人間相互間の標準間距についても、スプライレゲン、リンチ、ホール(E.T.Hall)、江山らの研究があり、顔が分かる限界が80ft、親和関係については8ftから3ftなどの数値が提案され、1.5?4ftを個人距、4?12ftを社交距、12ft以上を公衆距としたのはホールである。そのほか、造園設計では歩行の軌跡、視野、凝視角などのスケールの研究成果の応用が必要である。
五十音順
あ い う え お
か き く け こ
さ し す せ そ
た ち つ て と
な に ぬ ね の
は ひ ふ へ ほ
ま み む め も
や ゆ よ
ら り る れ ろ
わ