意味 |
花の種類によって開花時刻が異なることを利用して設計された生物時計的な花壇と、機械で時計の針を動かして単に文字盤を草花で装飾的に設計したものと2種類ある。造園的に公園や広場に設置される花時計のほとんどは後者である。グズミットとクレーボーン(S.A.Goudsmit & R.Claibome) によると、19世紀にヨーロッパの庭園につくられた生物時計型の花時計は、晴れていれば30分以内の誤差で時刻を知ることができたといい、植物学の創始者といわれるリンネ (Linne、1707?1778)がスウェーデンのウプサラにつくったものが有名である。開花時刻に合わせて各種の花を時針の位置に植えたものは、特にフローラホロロージ(Flora's horologe)と呼ばれる。一般に知られる花の開花時刻は次の通り。4時ハス、5時アサガオ、6時リンドウ、7時フクジュソウ、8時タンポポ、9時ユキワリソウ、10時サフラン、11時チューリップ、12時スミレ、13時ナデシコ、14時キキョウ、15時オニアザミ、16時ツユクサ、17時ヨルガオ、18時ツキミソウ。公園や広場など屋外修景施設として設置する花時計の設計の留意点は次の通り。(1)時刻の表示を分かりやすくするために配色を考えた配植とする。(2)利用者の位置から文字盤全体を見やすくするために10?20度の勾配をつけるか、一段、地盤より下げる。(3)時刻の調整や修理の便を考えながら、目立たない位置に機械室を設ける。(4)直径は普通3?5m、場所によりそれ以上とする。(5)花時計は、時刻を知る以上に修景的なポイントとなる施設なので、季節ごとの草花を取り替えるなど、ていねいな維持管理が必要である。ジュネーブにあるレマン湖畔の花時計は世界的に有名。 |