意味 |
作物・草花・芝草・樹木等の種子を播種床、あるいは畑にまき付けることで、播種の時期によって、春播(ま)き・秋播きと呼ばれる。また播種の場所や方法等によって、床播き・直(じか)播き・点播・条播・散播・取播き等の呼称がある。床播きは、播種床をつくって播き、定植するまで苗を培養する。その間、間引きあるいは移植床への移植作業等が伴う。微細な種子や高価な種子は播鉢に鉢播して十分な管理を行う。直播きは、本畑等に直接播く方法で、発芽率がよく、発芽後の生育にも手数のかからないものに行われる。点播は、床・畑にかかわらず播き穴をうがち、そこに1?3粒ずつ播く方法。条播はすじ播きで床や畑に1列ずつの溝条をつくり、そこに播き付ける方法。散播はばら播きで、床や畑全面にばらまく方法で、飼料作物や芝草などに用いられる。取播きは、樹木等枝についたままで成熟した種子を採り、直ちに播種する方法である。春播きの草花では、アサガオ・エゾギク・オジギソウ・キンレンカ・ケイトウ・ハゲイトウ・コスモス・サルビア・センニチソウ・ニチニチソウ・ハボタン・バーベナ・ヒマワリ・ヒャクニチソウ・ペチュニア・ホウセンカ・マツバボタン・マリーゴールド・ユウギリソウ等が挙げられ、秋播きの草花では、アリッサム・1年生カスミソウ・キンセンカ・キンギョソウ・ケシ・ヒナゲシ・ゴデチア・サポナリア・バッカリア・スターチス・デージー・ニオイアラセイトウ・ハナビシソウ・ハナダイコン・パンジー・ヒエンソウ・ムシトリナデシコ・ヤグルマギク・ルピナス等が挙げられる。西洋芝では、ティフトン芝など改良バーミューダグラスやクリーピングベントグラスのうち2?3の品種を除いた多くの品種は栄養繁殖によるが、他の大部分の種類は一般に種子繁殖による。春播き・秋播き共に行われるが、北海道等寒冷地では春播きされる。冬型の西洋芝の発芽適温20?25℃であるが、その後の生育を考慮すると10?20℃のときが播種期で3月中旬?5月、9月?10月が該当する。東京付近ではクリーピングベントグラスによる丸毛信勝の実験では、春は5月5日まき、秋は9月l3日?9月23日まきのものが最もよく春季は3月下旬?6月上旬、秋季は 9月中旬〜10月上旬を播種適期としている。夏型の西洋芝(バーミューダグラス)は、発芽適温は25?30℃であるが、その後の生育を考えると15?25℃のころが播種期で4?6月が該当する。播種量は、ムッサー(H.B.Musser)によれば、ゴルフ場のグリーンの場合、m2当りコロニアルべントグラスは10?20g、クリーピングベントグラスは5?10g、バーミューダグラスは15?25g、フェアウェーでは同じくバーミューダグラスは10g(ティーでは15?25g)、レッドフェスキュー15?25g(ティーでは20?30g)、ケンタッキーブルーグラスでは10?20g(ティーも同量)播きとされる。丸毛信勝によれば、グリ ーンの場合、m2当りクリーピングベントグラスは13〜14g(発芽率85%)播き、小山万吾によれば同じく5g(発芽率98%)播きを適当としている。おおむねこの場合播種量は5?13gの範囲と考えてよかろう。緑化工法で種子吹付けを行う場合の播種量は、m2当り、バーミューダグラス・ケンタッキーブルーグラスは4g。クリーピングレッドフェスキュー・チュウイングフェスキュー・オーチャードグラスは10g、ケンタッキー31フェスキュー・イタリアンライグラス・ペレニアルライグラスは15g、ウィーピングラブグラスは2g、レッドトップは1gとされ、この場合の計算株間はおおむね10mm内外とされている。なお、年数を経過すると急激に発芽率の低くなるものもあるから、播種にあたっては特に発芽率を十分検討する必要がある。 |