意味 |
不用水を排除するため、これに関連する施設を設計し施工すること。排水施設には、側溝雨水ますのように地表に現れるものと、排水管のように地下に埋設されるものとがある。排除すべき水が、地表水か地下水かにより表面排水と地下排水に分ける。いずれも流路は短区間で流末に至るように計画することが、自然流下による排水工の要点となる。このうち有孔管による地下排水は、よく運動施設の排水に用いられる方法である。排除する下水には雨水と汚水があり、それらは別の排水系統で計画され、分流式ないし合流式の下水道へ接続するのが本来である。庭園や公園の場合、プール・池からの雑排水がない限り、雨水の排水量が汚水のそれよりはるかに大きい。よって造園設計では、計画対象地からの雨水流出量をもって全体の計画下水量とし、これに対する排水施設の規模・構造を決める。(1)表面排水:造成された地表面勾配で流下させ、凹地や排水溝に集水ますを設置して集水する。自然流下には0.5%以上の排水勾配を、遅滞係数の小さい平滑な舗装面であっても0.2%以上を要するとされる。路傍のり肩などに設ける排水溝が側溝であり、側溝の中途には雨水ますが標準で20m内外、最大30m間隔で設けられ、これから先は管渠による排水方式で流下させる。(2)雨水流出量の算定:降水の一部は浸透し、これは暗渠による地下排水となる。貯留・滞流しながら徐々に排水管に流入する雨水量と、排水区域内の全降水量との比が流出係数Cで、これは公園緑地面10?25%、舗装面で最大95%に達する。雨水流出量を算定する手法に、実験公式と合理式とがあるが、いずれも外国での適用例が検証されずに移入されたため、特に実験公式は修正しないと実情に合わないとされる。ある時間帯に観測された雨量を1時間当りの量に換算した降雨強度Iと、その継続時間Tの関係を示す式にタルボット式I=a/(T+b)がある。これと組み合わせて、合理式は次に示される.Q=1/360・C・It・AQ:雨水流出量(?/sec)、C:平均流出係数、It:流出時間tにおける降雨強度(mm/h)、t:流入時間t1+流下時間t2(min)、A:排水面積(ha)降雨が始まると排水管を流下する水量は次第に増加し、最遠点の雨滴が流達したときピークになると仮定できる。その流達時間をtとすると、このtの降雨継続時間における降雨強度Itをタルボット式より求め、これを合理式に代入して最大流出量Qとする。雨滴が排水管へ流入するのに要する時間3?10分とされるが、実際の計算例では安全側にとって3分とする例が多い。t2は管路長を流速で除算して得る。(3)排水断面の計算:排水管内の水流は満流しても自然流下である。したがって排水管渠は構造的に暗渠でも 水理学的には開渠に等しい。このため通称クッター(Kutter)もしくはマニング(Manning)の流速公式が適用される。いま、ある地点での管渠の流水断面積Sm2、流速Vm/secとすれば、流量Q=S・Vである。流水勾配iを与えれば、Vは次に示す流速公式により決まるので、ある管口径の排水量Qは仮定計算ができる。そのQが、合理式で算定した最大流出量を上回るような管径断面を求めればよいことになる。マニング公式:V=1/n・R2/3・i1/2クッタ一公式:V=N・R/(√R+D)n:粗度係数、R:潤辺、i:流水勾配、N:23+(1/n)十(0.00155/i)・√i、D:(23+0.00155/ i)・n下水道関係では、もっぱらクッタ一公式が円形管流量表、ND表として数表化されて実用に供されている。なお、各係数C・nの標準値は、日本道路協会編「道路土工・排水工指針」に示される。 |