意味 |
イギリスで19世紀後半に生まれた環境保護団体。ハンター(R.Hunter)、ヒル(0.Hill)、ローンズリー(C.Rawnsley)の3人によって1895年に創設された。自然景観や歴史的環境の保護を目的としてスタートしたが、1907年に「ナショナルトラスト法(National Trust Act)」が制定され、法的根拠を得るに至った。この法律ではトラストに寄贈された土地や建物の「譲渡不能」の制度が設けられ、さらに1931年の「財政法」改正や1937年の「ナショナルトラスト法」改正により、寄贈された資産の相続税の免除や経営用資産を取得する権限が与えられた。こうした措置によって、1930年代にはカントリーハウスを中心とする古建築の所有が大幅に増加した。今日では、保存対象は山岳・森林・湖・運河・庭園・公園・集落など広範にわたっており、1981年にはトラストの会員は100万人を超えた。また1965年からは「ネプチューン計画(Enterprise Neptune)」という海岸線買取り計画が実施され、1982年までに429マイルの海岸線を所有するに至っている。同様の組織は、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ等においても誕生しているが、わが国においても「鎌倉風致保存会」をはじめ、「知床100平方メートル運動」や「天神崎市民地主運動」など地域的な運動が全国各地でようやく展開されるようになってきた。行政サイドにおいても、環境庁は「国民環境基金運動」と称して運動のあり方や行政の対応について検討し、さまざまの自治体において積極的に取り組んでいる。 |