意味 |
ぬかるみなどを歩く欠点を補うため離れ離れに美しく配列された踏石。古くから手頃な平らな自然石を歩幅に合わせ、悪路に敷き並べたものと考えられるが、庭園に用いられるようになったのは、茶会時に茶室へ至る道筋に展開する茶庭(露地)かららしく、飛石の持つ用と景が侘び寂びを重んじる茶道の境地に適していたからであろう。茶庭に用いられた飛石は、やがて書院庭にも採り入れられると、わたり(用)を重視しながらもその意匠的な効果(景)も重視されるようになった。茶庭(露地)には役石と称して急所を押さえるものが数多く姿を見せている。すなわち茶室付近の踏石・乗り石・落し石・刀掛け石、つくばいの前石、腰掛待合の貴人石・次客石・連客石・お詰石、砂雪隠の足掛け石・前石・小用返し石・裏返し石・戸下右、中潜りの主人石・乗越し石・客人石、額見周の物見石(額見石)、木戸の戸摺石などがそれである。また、飛石の配列には、大小取り交ぜた二連打ち・三連打ち、真っすぐな 直(じか)打ち、大曲り、二連と三連を組み合わせた二三連打ち、三四連打ち,左右千鳥の足跡状の千鳥がけ、大きく左右にふり分けた雁(かりがね)打ち、めでたい数字の七五三打ち、短冊形の2枚の切石を挿入した筏(いかだ)打ちなど様々だが、必ずしもこれら定型に従わずとも打つ方向・距離、視線の転換・休止など現地に応じて用と景を尊重し応用すればよい。飛石は硬質の自然石または切石で一定の厚さがあり上面平らなものがよく、庭の規模・意匠によって選定される。施工に当たっては一連のものはなるべく水平に据え、進行方向側面の凹凸は互いになじみ(合端)よく合わせ、必要に応じて踏みはずし石(控え石)を設ける。踏幅は飛石上が小さく不安定であり、庭趣を賞(め)でながらそぞろ歩きする関係上やや小幅となり、2mを四五歩、つまり43?50cmほどとし、石のすき間は10cm内外が見栄えがよく、これらは飛石の形状寸法によって定まる。据付けは十分つき固め、不動のものにすることが大切。据付け高は3?6cm、石の大小で定まる。二歩で一石の飛石を二足ものという。飛石の配列が単調な場合は短冊石などを挿入することもあり、終始点には踏止め石、分岐点には伽藍(がらん)石等の踏分け石を置く。飛石の路線は目的地へ迷うことなく明確に設け、人止め用には関守石を飛石上に必要に応じて配置する。 |