意味 |
近年、頻繁に、また多義な内容で使用される用語であるが、明確な定義はない。欧米にも相当する用語がない。わが国でもいつごろから使われだしたか定かでないが、多用されるようになったのは1970年代以降のことである。都市の公有地・民有地を問わず、あらゆる空間において修景を第一義として、さらに生活環境の保全、防災など種々の機能目的のために行われる緑化。都市内の既存の緑地の保全の問題も都市緑化の範ちゅうに位置付けられる場合もあるが、通常は、都市に新たな緑を創出するための行為、方策を指す。都市緑化のための施策としては、国や地方公共団体などの公的機関が行う都市公園の整備、道路・学校などの特定施設の緑化、さらには一般市民の手による個人住宅の庭の緑化、生垣の整備など広範囲に及ぶ。国では1976(昭和51)年に都市緑化対策推進要綱を定め、その後、1980(昭和55)年には都市計画中央審議会より「都市における総合的な緑化を推進するための中間報告」を受け、さらに1983(昭和58)年には緑化推進連絡会議が組織化されるなど緑化推進のための様々な施策を講じている。地方公共団体においても都市緑化にかかわる様々な条例、あるいは要綱に基づく多様な施策によって緑化が進められ、また、都市緑化の普及・啓蒙のための各種の行事も企画、実行されている。緑化の推進にあたっては、都市の緑の絶対量が不足している背景もあり、量の確保の問題に焦点が絞られがちであるが、緑化によって生みだされた緑の場は、単に樹木が多く植えられていればよいというものではない。木々が適正な間隔を保ち快適な雰囲気を醸し、観賞・休憩・散策・運動など様々な用途に耐える空間でなくてはならず、それぞれの機能にふさわしい緑の場が創出されなければならない。一部の公園あるいは住宅団地の園地などでは、十分過ぎるほど植樹がなされており、年々歳々の生長に伴い、むしろ稠密となって、種々の弊害をもたらすような現象も生じている。これらの反省に立ち、また、都市の緑の最大の効用は都市住民にもたらす心理的効果にあるという認識も定着し、ここ数年は、いかに快適な緑を創出するかという、いうならば緑の質を追求する気運が高まっている。また、都市緑化の対象空間の多くは、土壌条件が植物の生育にとって著しく劣悪な状態にあり、そのままでは植物の健全な生育は望めず、その結果、快適な都市の緑としての効果も発揮できないため、緑化にあたっては、事前に十分な地ごしらえが必要となる。さらに、緑化した緑を健全で清々とした状態に維持するためには、相応の維持管理作業が必要となる。現行では必ずしも維持管理のための予算措置が十分ではなく、この点の改善も今後の都市緑化の課題といえる。 |