造園用語集

都市美


造園用語集

と

都市美

項目 都市美 / としび
英語 city beautiful
意味 都市の建築物・街路・並木・公園・広場などが一体をなして美的価値を有するもの。ヨーロッパ中世都市の広場は、防衛・商業・統治・宗教その他の目的によって造成されたもので、その美は副産物であるともいわれるが、今日、その都市美は重要な観光資源となっている。バロック時代の都市美は、多焦点システム、シンメトリー、軸線、ビスタなどの技法を駆使した、幾何学的厳格さの表現による。1666年のロンドン大火後のレン(C.Wren)による復興計画案、1792年のランファン(P.C.L'Enfant)によるワシントン計画は、焦点・軸線・斜行格子による案の典型である。セーヌ県知事オスマン(G.E.Haussman)によるパリ改造は1853?69年で、今日見られるパリの都市美は、この時期に完成した。イギリスにおいてよく使われる「アメニティ」の語には、都市の美が包含され、1943年の都市田園計画省の事業報告書では、アメニティを都市計画行政の基本とし、醜いデザインや既存樹木伐採をアメニティに反する行為としている。1947年の「都市田園計画法」では、開発に際して樹木と生垣の保存命令を出すことにし、1967年の「シビックアメニティ法」では、植樹や生垣の修理に補助金を出すようになっている。1971年の 「都市田園計画法」では、保全区域を指定して、アメニティに反するものを強く規制している。フランスでは、政府に美観委員会が設置されており、建築線、建物の高さ、外観、色彩などを協議し、屋外広告物については屋根の上や軒先の掲示を禁止している。独ボン市には「美観風致毀損防止に関する地区条例」があって、厳しい制限を行い、オーストリアのウィーン市には「ウィーン市景観保護法」があって、樹木・樹林・記念碑の保護、保護区域の指定、審議会の設置などが規定されている。アメリカでは、1893年開催されたシカゴ市の万国博覧会において、敷地選定と敷地計画を造園家オルムステッド(F.L.Olmsted)、会場建築を建築家バーナム(D. Burnham)が担当したが、その白亜の展示館、広大なモールによる計画は、ホワイトシティと呼ばれ、アメリカ人の誇りとなり、盛んな都市美運動の原点となった。これを受けてアメリカ各都市は、シビックセンターの形成、緑豊かな街路、公園・噴水・彫刻などの設置により、美しい都市整備に努め、都市計画行政組織を確立した。2回にわたる世界大戦を経て、都市美に対する関心はー時低下したが、1965年ジョンソン大統領は「アメリカの美ー国土の美化」についての教書を議会に送り、大きな業績をあげ、各都市には都市美委員会が数多く設けられている。日本では、近世以降の美しい町が各所に残っているが、法律による保護を必要としている。1872(明治5)年、東京に大火あり、 その後の銀座復興に際し、東京府知事由利公正は、銀座通りの拡幅、並木植栽、れんが造建築により、ヨーロツパ風の都市美を造成しようした。1923(大正12)年の関東大震災後の復興には都市美に十分な配慮をしたいということで、官民による「都市美研究会」が発足し、1926(大正15)年には「都市美協会」と改称し、東京市長に建議を行っている。1959(昭和34)年、首都圏整備委員会では、「首都景観法案要綱」を作成したが、実現に至っていない。1963(昭和38)年、建設省は都市美を含めて国土美化運動を主唱し、1968(昭和43)年には、各都道府県は「都市美化運動」を展開した。1982(昭和57)年、建設省は都市政策の一環として「うるおいのあるまちづり」を提唱し、同年、都市計画中央審議会は、景観形成モデル地区を創設して都市美化の手段を講ずるよう報告している。現在、都市美に関連する法律としては「都市計画法」、「都市公園法」、「都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律」、「都市緑地保全法」、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」、「生産緑地法」、「屋外広告物法」、「文化財保護法」、「道路法」、「工場立地法」などがある。また、自治体にも関連する条例が制定されつつあり、京都市には、「京都市市街地景観条例」があって、風致美観審議会が設置され、地域の景観特性と調和を図るよう、建物その他のデザインについて規制をしたり、指導をしている。→としびうんどう
五十音順
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か き く け こ
さ し す せ そ
た ち つ て と
な に ぬ ね の
は ひ ふ へ ほ
ま み む め も
や ゆ よ
ら り る れ ろ
わ