意味 |
都市的土地利用が呈する景観、自然景観や農村景観、田園景観と対照して用いられることが多い。景観を自然景観と文化景観あるいは人工・人為景観に二大分類した場合には、後者に属する。辻村太郎は「景観地理学講話」(1937)の中で、都市景観を主題に論述しているが、そこでは、都市的土地利用の区域が描く平面的外形とスカイラインが形づくる立面形を指摘し、景観類型の一概念として都市景観を用いると同時に、そうした景観の内部構造や形成の過程を理解することの重要性を指摘した。このように都市景観の概念は、地理学の分野では都市の外観と構造にかかわるテーマとして発展をみてきた。ところで都市計画にあっては、アメリカの都市美運動(city beautiful movement)以来、都市の景観美が主要な計画課題となってきていた。また、1960年代になってイギリスで発祥したタウンスケープという新しい術語が都市計画用語として定着していくにつれて、世界はもとより、わが国にあっても都市景観が都市計画の主たる対象となるに至った。都市景観の観照の方法と しては、都市の全体景として眺望景観で見るもの、同じ全体景としてでも、広大な水面等を間にはさんでスカイラインの景として見るもの、都市内の街路上に視点を置いて町並み景観として眺める方法等がある。いずれの觀照方法によっても感じられるように、都市景観を構成する要素は、都市が立地している地域の自然的基盤としての地形や水系、そして、その上に展開する都市的土地利用の骨格としての道路網やDIDの広がり等といった大きなスケールのものから、一本の道路の形態、それに沿って並ぶ建物の色彩やテクスチュア・橋・駅前広場・小公園・街路樹・照明灯・標識・屋外広告物といった細かなものまでに及ぶ。ということは、造園計画が対象とする公園や緑地といったさまざまなオープンスペースは、大規模なそれから小規模なそれまで都市景観の要素として関係しているということになる。計画論としてみるなら、前記した都市美運動における公園配置やブールバールの計画論がそうであるし、都市広場を中心とした都市景観論や、街路景観において緑視率を指標とした街路樹計画法もある。また都市緑地制度としてみるなら、都市的土地利用の中で自然景観としてのランドスケープを保全する風致地区制度や、美観地区制度、都市の美観と風致を維持するための樹木の保存制度、都市景観形成モデル事業等々が都市景観向上のために準備されており、近い将来、各都市についての都市景観マスタープランを策定する必要性も出てこよう。→タウンスケープ →としび |