意味 |
道路交通の安全と快適性、道路ならびに道路環境の修景と保護のために行われる造園。具体的には、並木・街路樹の植栽、緑地帯・環境施設帯・中央分離帯の植栽、インターチェンジ・サービスエリアなどの造園、のり面緑化などが挙げられ、また、広義に解釈すれば、公園道路(パークウェー)・乗馬道・自転車道・緑道・自然歩道などに関する造園も含まれる。並木と街路樹の歴史は古く、ヨーロッパや中国では紀元前にさかのぼり、日本での起源は奈良時代になる。いずれも緑陰や飢渇をいやすためといった実用目的をもって植栽された。都市の発達とともに、パリのブールバール、ロンドンやワシントンのモールのように、都市の威容と都市美を考慮したものが計画される。日本では封建時代以来、街道並木・参道並木が発達し、今日でもその一部は貴重な文化財として人々に感銘を与えている。明治以後、横浜・東京をはじめとして、各都市において近代的な街路樹の整備が行われて今日に至っている。これらの街路樹は火災・震災・戦災といった被害を受けながらも、その度にそれを契機として復興するとともに、特に最近は、都市の緑を構成する重要な要素のーつとしての認識のもとに、全国的に整備が進められている。その傾向としては、個々の植樹ますを基とした植裁から、植樹帯あるいは緑地帯への移行、雨水浸透舗装や剪定(せんてい)方法についての研究、常緑樹の採用などが挙げられる。1974(昭和49)年、建設省は生活環境保全のため、道路交通に起因する騒音・排気ガス・振動などによる沿道地域への影響を軽減するため、車道端より幅員10?20mを環境施設帯として、植樹帯・歩道・自転車道などとすることができることを、道路管理者に通達した。また、1976(昭和51)年には、道路緑化の合理的計画・設計・施工・管理を行うために、「道路緑化技術基準」を通達している。道路と造園に関して、機能の面からよく追求したのは高速道路においてである。高速道路は、その通過する自然地域・生産地域・都市地域に対応して、環境保全や影響緩和のための造園計画を行うとともに、道路の本線および各施設それぞれについて、安全性・快適性といった機能を高め、より良い修景を行うための造園が計画される。その対象箇所は、インターチェンジ・サービスエリア、パーキングエリア、バスストップ、中央分離帯、路傍・のり面などである。視線誘導植栽は、曲率半径700m以下の道路の外側で、特にかなりの縦断勾配のある右カーブの箇所に、運転者の視線を誘導するために行うもので、周辺植生とは異なる樹種がよい。遮へい植栽は、醜い構造物、広告物、基地、一般道路の信号などを遮へいするものをいい、遮光植栽は、対向車のヘッドライトによる眩光防止のために行うものである。立入り防止植栽は、本線もしくは諸施設への立入り防止のために、自然環境保全植栽は、道路によって森林が切断される場合にその前付として行うものである。明暗順応植栽は、トンネル出入口付近に密植して、明所と暗所との突然の移行を柔らげようとするものであり、景観調和植栽は、道路構造物もしくは道路施設を周辺によくなじませるため行うものである。強調植栽は、道路景観が単調な場合に、樹姿・色彩・テクスチュアにおいて特殊な樹種の樹木あるいは樹林を植栽するもので、指標植栽は、サービスエリア・インターチェンジなどの位置、あるいは運転者自身の位置確認のために行われる。その他、防災・修景・休養などのための機能植栽があり、これらの機能植栽は、結果としては幾つかが重複するものである。これらの高速道路植栽の方法の多くは、一般道路の植栽に応用可能である。→どうろきのうしょくさい |