意味 |
哺乳類・鳥類・爬虫類・両棲類などの動物を一定の敷地において飼育、展示し、観賞その他レクリエーションの用に供し、また、研究、教育、希少動物繁殖の機能をもつ施設。世界最古の動物園は、1752年、オーストリアのシェーンブルンの庭園に設けられた。1828年、「動物学および動物生理学の進歩、動物界における新しきものの紹介」を目的として、ロンドンのリージェントパークに世界的に有名なロンドン動物園が誕生し、動物の生態と観客の利便との両方を考慮した近代的手法を採用した。19世紀前半に設けられた動物園は、スペインのマドリード動物園がロイヤルガーデン内に、パリのジャルダンデプラーテルは植物園内に設けられ、以来、動物園と公園緑地との関係は深い。日本では、上野動物園が1882(明治15)年、上野公園内に開園し、面積5haであったが、後に拡張され13haとなった。アメリカの市営動物園は、ほとんど入園無料であり、ヨーロッパの動物園は協会が経営して有料であり、市が公園地を提供しているものが多い、日本の動物園は公立のものが大部分で、都市公園もしくは都市公園施設となっているが、その他、電鉄会社や遊園地の会社が経営しているものもある。1907年、ドイツのカール・ハーゲンベックが従来の檻(おり)による動物飼育にかえて、濠を利用した無柵放養式を始め、各国の動物園がこれにならった。その後、ガラスフェンスやワイヤメッシュフェンスが使用され、また、展示場を明るくし、観客の方を暗くする心理的柵が鳥類の展示に考えられている。展示方法の種類には、系統分類学的、動物地理学的、生息地別に行うもののほか、夜行性の動物に対し昼夜逆転の装置を設けるなどがある。動物園の敷地としては、ある程度の起伏があり、傾斜面は南面し、水流や池が存在するような修景的要素に恵まれ、13ha以上の土地であることが望ましい。動物園に必要な施設としては、動物収容施設、事務所、倉庫、動物病院、研究室、飼料室、休憩所、売店、食堂、集会所、売札所、柵、駐車場などで、動物の飼育、展示、研究に関するものと、利用者の接遇に関するものに大別される。→どうぶつこうえん |