意味 |
日本庭園における池泉とは、井戸・滝・流れなどを含めていい、この造成にかかわるすべての工事。狭義に解して池のみを指すことも多い。造園において自然式の水景として滝・流れ・池泉などがとり入れられ、日本庭園では,池泉回遊式・ 池泉鑑賞式・池泉舟遊式などといわれるようにに池泉は重要なものとされている。池の形・島、石組については特に護岸石組として古来の造園書にも挙げられ、その技法が伝えられいる。今日における池泉工の内容としては、水をためる機能として重要な防水と護岸、水源、水質浄化の問題を含めた給・排水の設計、施工法が挙げられる。これらは造園工学の知識を必要とするが、古来からの池泉石組などの技法をとり入れ新しい技術としての造成が必褒である。池泉の水源としては、河川からの導水、湧水、井戸水、水道水が挙げられる。井戸水、水道水利用の場合、直結給水法、圧力タンク式給水法、高架タンク式給水法がある。池泉の給水は流路、池の水を流す方向が大切であり、池の形、汀線にも関係があり、設計にあたって流量・流速等水理計算に基づくことも必要である。池泉の水深については、池泉の大きさ、観賞、舟遊などの利用目的によって異なるが、一般には魚類を放す場合には30cmくらいとし、一部を深くする。池泉の水質は、常に清澄な水をたたえているのが理想であるが、このためには水の汚濁の原因とその防止対策が必要である。このために池泉の水質の変化は、池水の水収支に関係があり、流入、流出、池水量の変化、池水の停滞日数など、水収支調査および水質調査が必要となる。池泉の水質の基準については、別に規定はないが、池泉の造成、維持管理においても水質保全は重要な問題である。池泉工において漏水の防止は重要な条件であり、護岸、池底の防水工法についても池泉の立地条件に合わせた工法をとらねばならない。工法として、叩き粘土工法、コンクリート工法、ショットクリート工法,シート防水工法その他がある。叩き粘土工法は粘土として荒木田・真土など透水係数の少ないものを用い、砂利・砂とでよく混合して池底、護岸部に打ち、十分突き固めて仕上げる。コンクリート工法は、基礎地形の上にコンクリートを打ち込み仕上げるが、場合によっては鉄筋を配筋したり、溶接金網を入れ水密コンクリートを打つこともある。コンクリート表面を防水モルタルで仕上げることもあるが、セメントガンでモルタルを吹き付けるショットクリート工法は自由な形で池をつくることができる。袋打ちコンクリート工法は、池底部とともに支壁を併せて箱型にコンクリートを打ち、これに護岸石組を行う方法である。この方法は護岸石組や水草を植え込む場合でも漏水に対して維持管理面からみても最も確実性があるものである。シート工法は、防水にポリフィルム等またはアスフアルトなどを特殊ゴム被覆したシートを使用し、基層の上に敷いてその上に砂で覆う防水工法である。護岸工法としては、石組、石積み、玉石積み、コンクリート護岸のほか、粘質土で岸を叩き固めその上に水辺植物や低潅木・苔類などを植える草止め、杭丸太または石杭を打ち込む乱杭、柳の枝などで編んだしがらみなどがある。また、水辺の地表構成のーつとして洲浜の手法がある。このほか河川護岸においても、従来の治水護岸でなく、水に親しむための親水護岸が提唱されている。いわゆる治水・利水の観念より親水性が重くみられてきている。 |