造園用語集

滝石組


造園用語集

あ

滝石組

項目 滝石組 / たきいしぐみ
英語 -
意味 庭滝を構成する石組。庭趣の主景となる重要な細部で滝組・滝口組ともいう。滝石組を構成する役石に、水を落とす水落ち石、その脇石として滝の主石となるのが滝添え石(主護石・不動石)、滝上部の滝口には波分け石・中石、滝壺付近には水分け石・水受け石・木の葉返しの石がある。日本庭園の滝は自然の趣を尊重するのが特色で「作庭記」では滝の形式を次のように類型化している。二つの滝が向かい合って落ちる向い落ち、滝を左上から落とす場合水落ち石の前に前石を置き、その頭上に落水させ飛沫(しぶき)を上げて石へ落ちるという片落地、水が緩やかに石襞(ひだ)に従って伝い落ちる伝い落ち、水落ち石の天端が角の鋭い石で下部に伝わらず直接落下する離れ落ち、平板宮水落ち石をたてに使い白布を一杯に広げたように落とす布落ち、水落ち石の上端に角多く突き出した石を置き、水を幾つにも分け落とす糸落ち、水落ち石が幾つも重なる重ね落ち、水を左右へ二段三段と落とす左右落ち、厚みのある水落ち石の側面から落とす横落ちなどがそれである。滝石組の工法についてもまず水落ち石の選定が大切。当時は伝い落ち状のものが好まれていた。水落ち石は滝石組の中核をなすものであるから、形質が厳選され一般に天端平らな山石がよく、その形状や石組の仕方で落ち方が変わる。次に水落ち石の姿に応じて左右に滝副(添え)石などの脇石が添えられ、すき間は小石交じりの粘土で固める。水量が少ないかまたは水を循環して用いる場合は、その漏水を極力防ぐよう水落ち石の裏面のほか、滝口・滝壺に置く石組の底部にはあらかじめ水位までコンクリートで側壁を立ち上げておくとよい。滝口上部の左右および奥は波分け石や中石で奥行を深め、さらに常緑樹等で深山幽谷をかたちどるとよい(滝囲いの木)。落水が息づかせぬためには落ち口の手前に水のたまる凹部(水がめ)を設けて静水化する必要がある。落水途中には滝を分ける水分け石や、滝の観賞位置と滝条との間に枝を差しかけた飛泉障りの木を設けると奥行感が期待できる。滝壺は流れより広くし、水受け石・水分け石などで変化ある景観を造る。ほかに滝石組には全く水を落とさぬ油象的な表現のものもあり、大仙院庭園がその例である。
五十音順
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か き く け こ
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た ち つ て と
な に ぬ ね の
は ひ ふ へ ほ
ま み む め も
や ゆ よ
ら り る れ ろ
わ