意味 |
紀元前3世紀ごろからの中国で盛んになったといわれるが、陰陽五行説や民間伝説、それに老荘哲学など道教的思想が複合して発達したものが神仙思想で、不老不死の術を会得し、人類不変の理想である永遠の生命を得ようとする思想。神仙蓬莱思想ともいうし、蓬莱思想とも同意で使われる。神仙とは、修業によって不老不死の存在となった仙人のこと。理想とする世界や祝儀願望を表現しようとした宮廷の庭園では、神仙思想でいう神仙世界の象徴表現が早い時期に導入された。中国、漢の武帝がつくった建章宮の北、来央宮の西南の太液地(たいえきち)には、蓬莱(ほうらい)、方丈(ほうじょう)、瀛州(えいしゅう)、壺梁(こうりょう)の4神仙島をなぞらえた中島がつくられたと文献にある。前3者をまとめて神仙島ということの方が多い。また隋の煬帝(ようだい)の西苑にも神仙島が構えられた。日本では、飛鳥奈良時代に中国から移入された神仙説に、在来の常世思想(とこよしそう)などが合体し、蓬莱庭園とか鶴亀の庭という言い方で日本化し、桃山時代から江戸時代にかけて俗化して盛んに活用されていった。神仙島は万里はるか東方の海上にあって黄金で出来た宮殿には仙人が住み、そこは一年中春のような楽園であるが、人間界の人々は滅多に近づけない島とされる。そのために庭園につくられる神仙島の護岸の石組は断崖絶壁を象徴して厳しい垂直面の石が使われる。3神仙島をー列に配置して表現することから、神仙思想を表現した庭園を特に、三島一連の庭と呼ぶこともある。 |