意味 |
アメリカのモンサント社が開発したナイロン製の芝生状の製品。合成芝ともいわれる。スポーツ用にターフの代用として、アメリカで実用化されたのは、1965年に完成したアストロドーム(テキサス州ヒューストン市)の屋内野球場に使用されたのが最初である。このことからアストロターフとも呼ばれた。わが国には1970(昭和45)年ごろ輸入され、ゴルフ場では城陽カントリークラブのティーに使用されたのが初めといわれ、野球場では1976 (昭和51)年に後楽園球場が初めて国産の人工芝を採用し、従来の芝生を人工芝に切り替えた。人工芝の茎葉部に相当する部分はナイロンの小片で、合成繊維の布に植え付けられ(織り込まれ)、それが発泡塩化ビニルかゴムで出来ているクッションの上に張り付けられた製品である。ビニルフォームのクッションは厚さ約16mmくらい、ナイロンの長さはスポーツ別に異なり、毛足の一番短いものがテニスで約6mm、次いでゴルフ・フットボール用の順になる。基礎を砂利・砂・アスファルト等で平たんに造成した上に人工芝を張り付けた人工芝生で、ケミカルローンとも呼ばれる。芝草と異なり、生育に必要とする温度・水分・日照等は関係なく、季節や屋内外を問わず造成が可能で、刈込み・施肥・除草・病虫害防除等の管理作業も必要とせず、常に緑色で踏圧に対して耐久力が大きい。なお工場製品であるため、種々の規格のものが比較的自由に加工できること、降雨後の試合開始がスムーズに行われること等の利点が挙げられるが、反面、造成費が高価につくこと、煙草等の火による損傷、運動中の転倒あるいはスライディング等による摩擦熱による負傷、基礎が堅いため接地圧が脚筋に反射する悪影響、芝草と異なり人工芝生の表面温度は夏季昼間73?74℃にも上昇するが、これは生理上好ましくない。塵尭(じんあい)の除去とあわせて散水が必要となる等の欠点も生ずる。屋外でのスポーツは、本来土の上、芝生の上、あるいは自然の草原の中で跳んだり、走ったりすることに、より以上の醍醐味(だいごみ)があり、心理的な効果も高いと考えられるので、人工芝は局部に利用することは良いとしても、大面積には使用して欲しくないものである。都市において次第に緑が少なくなる現状では、せめてスポーツグラウンドにも芝生を整備して残したい。なお、のり面緑化のための資材として、西洋芝の種子・粒状固形肥料等を紙ベース・ガラ紡ベース・わらすだれベース等に接着させたもの、あるいはポリエチレン網袋や寒冷紗袋に、種子・肥料・土を詰めたもの等があり、これらを人工芝と称しているものもあるが混同してはならない。 |