意味 |
林地あるいは草地など、まとまった空間単位の植生地を用途・機能に応じた状態に管理すること。個々の植物の管理とは異なり、遷移をはじめとする生態学的知識が特に必要となる。植生管理が必要となる空間としてはニュータウンなどにおいて緑地として残存させられた既存の樹林地、大規模公園に取り込まれた既存の樹林地、新たに造成された環境保全林・環境施設帯などの樹林地、道路等の植生のり面、レクリエーション目的に造成された大規模草地などが挙げられる。それぞれの植生地に課せられた用途あるいは管理目標として定められた植生タイプの違いによって管理の手法は異なる。すなわち、既存の樹林地も開放的なレクリエーション園地として活用するか、極力自然のままの状態で残すかによって全く管理手法は異なる。また、芝草を吹付けした植生のり面においても遷移を助長し、木本群落へ誘導するか、吹付けした芝草のそのままの植生状態で維持するかによって管理手法は異なる。管理工種としては、樹林地の場合、間伐・除伐・つる切り・下草刈りなどの造林技術が主体となり、草地の場合には、刈込み・除草・施肥などが挙げられる。管理目標・管理手法の違いによって管理工種を適宜使い分ける必要がある。樹林地の林床あるいは草地を一定状態に維持するためには、管理目標に応じた管理水準、すなわち刈込み等の作業頻度・時期などが定められなければならない。樹林の植生管理の中で、あらゆる面で問題となるのが樹林の立木密度をいかにすべきかという生育段階に応じた密度管理の問題がある。一例を挙げるならば、レクリエーション利用を目的とした樹林の密度はどの程度が望ましいか、あるいは環境保全林、のり面に成立する樹林を健全に維持するためには、いかなる密度が望ましいかという問題があり、現状では実際の密度管理に適用できるような知見は少ない。いずれにしても植生管理に関しては学問的、技術的にも未熟な点が多く、早急に植生管理技術の体系化が望まれる。 |