意味 |
植栽地の土壌を植物の生育にふさわしい状態に改良、整備すること。植栽地の耕耘(こううん)きょう雑物の除去、排水、盛土、客土、土壌改良剤の施用、施肥、有害物質の除去、pHの矯正、整地など、地ごしらえにかかわる一切の作業を包括した概念。個人住宅の庭、街路樹、芝生園地、大規模公園、緑地、あるいは人工地盤上の植栽地に至るまで、あらゆる空間の緑化を進めるための前提条件となる。近年、植栽地となる空間は、種々の環境圧の存在する特殊環境地が増え、また、先行して実施される土木工事によって心土の露出、土壌の撹乱、固結化をきたすなど、植物の生育基盤としては極めて劣悪な状態となっている場合が多い。植栽した植物が健全に生育し、恒久的に所定の機能を発揮するためには、当初の十分な植栽基盤整備の実施が不可欠となる。植栽地の土壌環境圧の主なものとしては、過乾、過湿、固結、養分不足、pHの不良、有害物質の存在など様々なものがある。植栽基盤整備にあたっては、これらの土壌環境圧の除去・改善と良質な有効土層を確保することが眼目となる。具体的な工種としては、盛土工・土層工・排水工・客土工などの土層改良工と、土壌改良剤施用工・中和剤施用工・除塩工・施肥工などの土壌改良工とに大別される。植栽基盤整備の一般的手順を示すと、(1)植栽設計の意図の確認、(2)植栽目標の設定、(3)土壌調査による土穣条件の把握、(4)整備対象範囲の決定、(5)土壌環境圧の把握、(6)土壌改良目標の設定、(7)改良必要度の検討、(8)改良工法の選択、(9)改良規模の決定、(10)使用する資材の決定、(11)施工手順の決定という工程が考えられる。一連の工程の中で特に重要な点をいえば、まず第ーに植栽基盤整備にあたっては、事前に十分な土壌調査を実施し、現況の土壌状態、特に環境圧の状態を正確に把握し、改良目標を設定し、実効のあがる的確な工法の選択を行うことが必要となる。第二に工法の選択にあたっては、植栽地の立地条件・規模・形状・性格、土壌の種類・状態、植栽する植物の性状・規格形状などの要因を考慮し、適宜決定することが望ましい。第三に改良規摸すなわち盛土工の盛土厚、土層工の耕深、排水工の設置深、および理化学性の改良深等については、植栽目標によって適宜決定すること、などが要件となる。なお現状においては、植栽基盤整備の問題は植栽工事の段階で初めて検討される場合がほとんどであるが、理想的には基本計画レベルから設計、造成、植栽工事に至るあらゆる段階で検討されなければならず、場合によっては植栽基盤整備の観点から造成計画あるいは植栽設計の在り方を見直すことも必要となる。 |