意味 |
人間生活の中心である住居周辺から、近隣住区程度の広がりまでの環境を対象とし、快適な住生活を造園的に具現化するための設計行為。通常、住居を中心とする生活環境の条件として、日照・通風、上下水道、街路、交通機関、遊び場・公園・緑地、学校・幼稚園、病院、文化施設、災害の危険、大気・水質・騒音等の公害などが挙げられる。しかし、造園的に対象となる住環境の条件とは、私有地では住宅の庭など敷地内の緑、また建物が連なった町並み。公共施設では、公園・緑地・道路などである。住環境を整え快適にする意味では、住戸まわりの造園が基本で、季節風から生活を守る敷地設定や防風林、外敵からの安全を確保する囲障などにその原型を見ることができる。人間生活が集団化し都市生活が進むにつれ、その他上記のような条件が加わった。特に既成市街地では、無秩序な開発による種々の問題が生まれている。わが国で公園面積が既成市街地内で少ないのがそのよい例。一方計画的開発地においては、敷地計画、住棟配置、道路網、公園・緑地系統など外部空間のすべてにわたっての住環境設計がなされている。住環境設計の質には三つのレベルが考えられる。生活を守り安全を確保する段階、住環境の構成要素から不快なものを取り除く段階、さらに快適な生活を演出するために美的な環境を創造する段階である。例えば、住戸のまわりに囲障をめぐらすのは第一段階、その囲障からブロック塀などがもつ無機質的な冷たさを取り除き、緑の生垣にするのが第二段階、そして生垣を美しく仕立てて美観を保つのが第三段階といえよう。歩車共存型の道であるコミュニティ道路やボンネルフと呼ばれる街路設計など、公共空間の生活化、快適化も重要な視点である。→じゅうたくぞうえん |