造園用語集

芝生造成


造園用語集

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芝生造成

項目 芝生造成 / しばふぞうせい
英語 -
意味 一般には、よき地ごしらえで芝付けを行い、美しい芝生を造ること。日本芝の場合、各種張芝のほか条芝や播芝等によって芝生を造成する。西洋芝を用いるときは一部の種類を除いて、おおむね播種による。芝生の造成には、栽培して出荷する芝畑の場合と、芝生面での利用が目的の庭園・公園、競技場フィールド、野球場その他各種球技場、ゴルフ場等の芝生造成の場合とがある。芝畑を造成する場合、永年連作されるので芝付けのとき土質は特に吟味する必要があり、切取り出荷に不都合がある土質のものは不適当である。例えば、(1)耽・砂利混じりのような土質では切取りに際して刃物を損傷する、(2)砂地では、切り取ったターフ(切芝)に土がつかずターフは崩れ、また乾燥し、運搬・出荷に不適当、(3)芝畑面が平たんになるよう、土地に起伏がなく、表土は深く、土質も軽く、土付きがよく、運搬や根の保護に都合がよいこと。関東ローム層(クロボカ:壌土?砂壌土)の土地は最適。芝畑が平たんでないと切り取られたターフに厚薄ができる、(4)土壌は排水良好で地下水位が高くないこと。重粘土では根の発育に支障があり、切茎の運搬に重量がかさむ。なお利用芝生の場合、芝付け後の生育特に踏圧利用がなされる芝生では、土壌が固結して芝の状態が悪くなる、(5)日照には十分に恵まれること、(6)切取り運搬・出荷に便利な立地であること。なお、芝栽培の場合は年々ターフに土をつけて(土付き)切り出すので、たとえ目土が入っても栽培地は年々地盤が低くなるゆえ、多少とも高台地で行うか、もしくは多少でも地盛りを行った土地について始めることが望ましい。庭園・公園その他利用芝生を造成する場合は、その計画地が必ずしも土壌条件に恵まれているとは限らない。ただし栽培地のように出荷という制約がないので、芝畑ほど土壌に対して厳密な考慮は必要としない。それは土壌改良剤の混合や、小面積ならば床土替え、あるいは盛土の方法もあり、根付げばその後の肥培管理その他養生によって十分補うことができるからであり、またその後の芝生の状態によっては補植、更新して維持することができるからである。地ごしらえには、除草・耕耘・施肥(基肥)・整地等の作業が行われるが、利用の目的によって積極的な土壌改良がなされなければならない。そして、芝張り・目土かけ・転圧・灌水等の一連の作業を経て芝生は造成される。除草は、芝生造成予定地の雑草や飛散したそれらの種子等を除いて土地を清潔にする。人力によるほか除草剤を用いる。除草剤にはいろいろあるが、新設する場合は非選択性除草剤で、すべての雑草を根絶やすことが望ましい。例えば、クロレートソーダ、タンデックス、グラモキソン乳剤、レグロックス乳剤等は有効である。非ホルモン型接触型の除草剤で全雑草を枯殺する。特に後二者は土壌中では直ちに不活性化し、無毒化し、残効性がないので便利である。しかし、耕耘の際根株は丁寧に除去しなければならない。前二者は残効性が大きい。クロレートソーダ等は少なくとも芝張り 1?2か月前に行うべきである。ただし、笹・灌木にも有効であるので付近の樹木には十分注意する。耕耘は、深耕する(大体30cm内外)。次いで土粒を細かく砕き念入りに開墾し、土中の雑草の根株・瓦耽等は拾い出し、熊手・レーキ等で地表を平均にならす。整地には十分気をつかい、地窪等があれば埋土して雨水が一方に流れるようにしてやり(表面排水)、水たまりができるような地形にしてはならない。かまぼこ型にするとか緩い勾配をとる。地表の凹凸は芝張り後では処理しにくい。均一な地ならし整地後ローラーをかけ、大人が歩いてうすく靴の踵(かかと)の跡がつく程度にし、切芝を表土と密着するよう、すり込むように敷き込みながら芝張りを終わったあと目土かけを行う。目土の量は、俗に、造成時には100坪の張芝にし、0.85?1立坪(≒1立坪)分、一様にした場合、1.8cm内外の厚さとなる。葉先が目土の上に現れる程度、十分芝生敷に目土が入るように笄(こうがい)板等ですり込み、板で叩くか、軽くローラーをかけ、一様に十分灌水する。表土は30?35cmの深さがあれば申し分ないが、20?25cmの厚さを保てば、芝の生育にはまず差し支えない。土粒は細かく砕き、少なくとも地下10cmの範囲には細土がゆきわたるようにする。この10cmの範囲に根の80?90%が分布する。土壌が粘土質の土地ならば川砂、砂地ならば粘土質の土壌を加えることは好ましい。庭園や公園などの芝張りではそれで十分であろうが、運動競技場のフィールド、サッカー・ラグビー場、ゴルフ場のグリーン等の場合は踏圧により土壌が固結するので、それを防ぐため土壌改良資材等の混合が必要となり、それによって土壌の通気性を増し、踏圧による芝の損傷を軽減するようにする。基肥としては、堆疚肥等有機質肥料の鋤(す)きこみを第ーにおさなければならない。土壌の改善と地力増進のために積極的な利用が必要である。基肥としての窒素肥料は、腐熟堆疚肥・油かす・豆かす・鶏糞(他の要素も十分含んでいる)等、芝の軟弱化を防ぐため同じくカリ肥料としては、硫酸カリ・木灰・わら灰等、さらに土壌の性質によっては、同じく相当多量のリン酸肥料を必要とし、それには過リン酸石灰・溶成リン肥・骨粉・米糠(こめぬか)等が挙げられる。わが国のように、土壌が一般的に酸性が強い場合、石灰の使用も考えなければならない。土壌のpH値が5.5以下、特に強い酸性では根の生育に支障をきたし、要素の吸収にも不都合である。pHの矯正には次の式が参考になる。1m醐当り炭カル量(基準量)=60g×(目標とするpH値一現在の土のpH値)。最近、堆疚肥の入手が困難であるので、工場生産されるバーク堆肥(キノックス)やピートモス等が多く用いられる。また、化学堆肥等のキャッチフレーズで呼ばれているアズミナート・テンポロンなども利用される。造成時、春季基肥として用いられる量は、年間を通じて必要とする三要素の約半量近くが施用される。窒素・リン酸・カリの施肥割合は、関東地方のような火山灰土壊では、おおむねN:P:K= 1:1.5(?2):1 (?0.8)の割合が考えられる。ゴルフ場では、年間10a当り施肥量は、窒素として、グリーンのヒメコウライシバでは25?40kg、同じティー・エプロンのコウライシバでは20?30kg、フェアウェーのコウライシバでは15?25kgが一応の目安とされている。庭園や公園の芝生の施肥量は、ゴルフ場のフェアウェー程度には行いたい(江原薫は春床土造成のときには全施用量の30?40%くらいを用いるとしている)。全窒素量が年間15kg以下では葉の色が淡白になって具合が悪いとしている。なお、芝張りについては張芝を見よ。
五十音順
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か き く け こ
さ し す せ そ
た ち つ て と
な に ぬ ね の
は ひ ふ へ ほ
ま み む め も
や ゆ よ
ら り る れ ろ
わ