造園用語集

芝生管理


造園用語集

し

芝生管理

項目 芝生管理 / しばふかんり
英語 -
意味 造成された芝生が、利用目的に沿って、長年にわたって好ましい状態に維持され、十分その機能が発揮されるよう刈込み、肥培その他の手当、養生を行うこと。芝生の管理には、目土入れ、施肥、刈込み、バーティカッティング、エアレーショ ン、灌水、転圧、芝焼、防寒、補植、更新等気象・土壌などの自然条件、刈込み・踏圧損傷などの、人為条件に対して正常な生育を維持するための対策と、雑草や病虫害などの生物条件に対する防除対策とがある。以下、施肥・灌水、防寒・更新・除草・病虫害防除等の作業の概略について記す。施肥は、春肥・秋肥に大別される基肥と、その間、生育の状態、刈込み回数と関連して適宜分施される追肥とに分けられる。原則として施肥は成分の低いものを回数多く分施することが安全で、一様に平均した生育を促すことができる。コウライシバの場合、関東では一般に春肥は3月下旬?4月下旬、秋肥は8月下旬?9月中旬に施される。秋肥は翌春の萌芽のためのエネルギー源で、リン酸やカリ肥料を多く、春肥は春から夏の生育期のため窒素肥料を多く、遅効・速効の両性質を合わせたものが用いられる。追肥は生育期間中刈込みに伴って速効性のものを毎月施すが、緩効性の化成肥料を用いれば、肥効が持続するので施肥回数が少なくてすむ。これは温度、生育季節の長さ、芝種や土壌の性質によって異なるが、年間2?4回くらいの施用でよいといわれる。ベントグラスについても同様な考え方で生育のステージに応じて施肥される。年間の施肥回数は、ゴルフ場のグリーンの場合、コウライシバで7?9回くらい、ベントグラスで12回程度が考慮される。駒沢公園の第一球技場、陸上競技場フィールドでは年間8回の施肥がなされた。一般芝生ではコウライシバの場合、年間6回くらいが標準で、庭園や公園などの芝生で十分肥培管理が行えない場合でも、コウライシバで年間3回は最低必要となる。年間の施肥量は芝生造成の項でも述べたが、ゴルフ場のグリーンにおいて窒素は10a当り年間ヒメコウライシバで25?40kg、ベントグラスで35?50kg、改良バーミ ューダグラス(ティフトン芝等)で60?80kg、ケンタッキーブルーグラスで23?50kg、同じくティー・エプロンのコウライシバは20?30kg、同じくフェアウェーのコウライシバは15?25kgが一応の目安とされ、春肥には年間施肥量の25?30%程度の施用が考えられる。なおトータル窒素量が年間5kgでは葉の色が淡色になって具合が悪いとされている。庭園・公園その他一般の芝生については、ゴルフ場のフェアウェー程度の肥培管理を行いたい。三要素の割合については、芝種・土質・気候・利用頻度(損傷度)・刈高・刈込み回数等によって異なってくるが、関東地方のような火山灰土壌では、ヒメコウライシバ・コウライシバ等では、窒素・リン酸・カリの比率は、おおむね、N:P:K=1:1.5(?2):1(?0.8)がよい。灌水については、日本芝類は元来乾燥に抵抗力があり、あまり灌水を必要としないが、夏季旱天が続き葉を巻くようなときには必要な作業となる。特にゴルフ場のグリーン、球技場・競技場等の芝生では透水性のよい土壌で、排水の良い構造に造成されているので、灌水設備はぜひ完備しなければならない。西洋芝は高温・乾燥に弱いため、灌水は水分補給のほか、芝生面の温度を下げる上からも必要な作業となる。また病菌の蔓延を防ぐため、朝露をはらうのには灌水が一番よい。灌水量は土性 ・土壌構造等によって異なるが、コウライシバの場合夏季旱天のときはm2当り1日1回 6.0?6.5l、同じくべントグラスの場合9.4lと算定され、おおむねこれが一応の目安と考えてよかろう。灌水は日中を避けること。日の出前後が最も良い。防寒は芝生造成後活着不十分のまま休眠し、冬の寒さをむかえる場合、または凍上の害の激しいときに必要でこもまたはむしろ掛けを行う。風で飛ばないよう割竹を渡してとめたり、しゅろ縄を縦横に張り渡して止める。こも・むしろのほか布・ビニール・合成樹脂製の防寒袋等も用いられる。夏型芝(日本芝)の場合休眠期間中はよいが、芽が動き出す2月中旬ごろから注意してとりはずさないと根茎をむらす恐れがあり、冬型茎では昼間はとりはずさなければならない。傷害を受けた芝生は当然更新・補植が行われるが、その軽度の場合はエアレーションやバーティカッテングによって、芝の若返りを図り芝生を更新させるが、老化・傷害の激しい場合は、全面更新、切取り更新、?ぎ芝更新等の方法によって根本的な更新を図らなければならない。雑草の防除は人力によるほか省力化のため除草剤が使用される。除草剤は大別して発芽前処理剤と発芽後処理剤とがあり、発芽後も特にイネ科の雑草を初期のうちに処理して効果的のものとがある。前者には非ホルモン移行型のものとして、シマジン、ロンパー、プレサン、テュパサン、ダクタール等。後者にはホルモン移行型の2.4-D、MCPソーダ塩、MCPP、バンベルD、ぺスコ等。非ホルモン接触型にスタム、非ホルモン移行型にアンサー、ラウンドアップ等がある。スタムやアンサーはイネ科の雑草に用いられる。散布にあたって時間・用量・適用雑草等を誤らないよう十分注意する。虫害防除については、芝生の主なる害虫は、シバツトガなどガ類の幼虫、コガネムシ類の幼虫、スジキリヨトウ等で、殺虫剤としてスミチオン、サリチオン、ダイアジノン、デイプテレックス、カルホス、オルトラン、ビニフェート等が挙げられる。いずれも適用害虫、散布適期、用量を誤らないよう十分に留意する。病害防除ついては、芝草全般に、罹病しやすい主な病害は、葉枯病(カーブラリヤ葉枯病・ヘルミントスポリウム葉枯病)、別名斑点病、斑葉病、犬の足跡等ともいう。銹病、雪腐病、別名スノーモールズ、スノーブライト、フザリウム立枯病ともいう。粘菌病、別名スライムモールド、灰色かび病、ほこりかび病ともいう。フェアリーリング、うどんこ病別名白渋病等であり、特に寒地型芝(西洋芝の類)にはブラウンパッチ、別名葉腐れ病等ともいわれ、一部コウライシバやバーミューダグラス等の暖地型芝を侵すこともある。ピシュウムブライト(綿腐病)、ダラースポット、カッパースポット等があり、また暖地型芝(日本芝類やバーミューダグラス)には黄化症(黄化現象)。春錐げ症・しずみ症(春錐げ病・しずみ病)。白葉病、別名白斑病、ホワイ トパッチ等が挙げられる。防除対策としてはサッチ等を除去し、エアレーションを行い、排水を良くし、土壌の過湿を避ける。ただし、乾燥しやすい傾斜地や砂地では適度の灌水により、適正なる土壌湿度を保ち、過度の乾燥は避ける。窒素肥料の過多を避け、カリ肥料、リン酸肥料、ケイ酸肥料を施用する。土壌酸度(pH)に注意する。過剰な目土は避ける。時に土壌分析を行い、鉄分や微量要素のチェック、肥料分の分析を行う等適正な栽培管理や、薬剤の散布を行うことなど必要となる。薬剤には葉枯病・白菜病にTPN剤:ダコニール等、銹病に水和硫黄剤、ジネプ剤:ダイセン等、プランパッチ・ダラースポット・カッパースポットにチオファネートメチル剤:トップジンM、ベノミル剤:ベンレート、TPN剤:ダコニール等、ピシュームプライトにキャブタン剤:オーソサイド等、チウラム剤:チウラム、グリーンチオノック、ポマゾール「エフ」等、キャブタン・チウラム剤:キングローン等、雪腐病にTPN・チウラム剤:ダコグリーンあるいはチオファネートメチル剤等、春錐げ症に有機銅・キャプタン剤:トモオシラン等、フェアリーリングにクロルピクリン等燻蒸剤、うどんこ病にチオファネートメチル剤:トップジンM、ベノミル剤:べンレート等がある。いずれも使用量、散布回数・間隔、適用病害を誤らないよう十分注意する。
五十音順
あ い う え お
か き く け こ
さ し す せ そ
た ち つ て と
な に ぬ ね の
は ひ ふ へ ほ
ま み む め も
や ゆ よ
ら り る れ ろ
わ