造園用語集

移 植


造園用語集

い

移 植

項目 移 植 / いしょく
英語 transplanting
意味 生育している場所から新たな場所へ植物を移し、その場所においても引き続き健全な生育を促すための手当をすること。移植は、移植するための前準備、掘取り、荷造り、運搬、植付け、養生までの一連の作業を指す。なお、移植の前準備とは、該当樹木の樹勢、現在生えている場所および新たな場所の環境条件などを把握し、移植の難易、根回しの必要性、移植の方法、移植時期などを検討することをいう。樹木の掘取りにあたっては、樹種、樹木の大小、移植時期、移動距離の遠近などを考慮し、根巻き、ふるい・追い掘りなど、根鉢のとり方を選定する。一般に、根巻きによる方法が多く用いられる。ふるいは根巻きをせずに、土壌を落ちるにまかせる方法で、移植適期中で、植付けまでが短期間で落葉樹の移植に多く用いられる。追い掘りは、根を切らずに長いまま掘りとることで、フジ・ミカン類など特殊な樹木に限り、用いられる方法である。根鉢の大きさは、樹木の根元直径の倍数により標準が決められている。根鉢の直径は成木等の場合で幹の根元直径の3倍から6倍の範囲、小木の場合では8倍から10倍までの範囲とされている。また、根鉢の深さは通常、落葉樹類の場合根鉢の直径の1/2?3/4の深さ、常緑樹類では根鉢の直径の3/4の深さ、あるいは根鉢の直径と同等の深さとされる。掘取りの根鉢の深さに応じ、それぞれ皿鉢・並鉢・ベイ尻と呼ばれている。掘取り後、根鉢の崩れと根部の乾燥を防ぐために素縄・稲わら・わらこもなどを用い、根鉢を包む。俗に揚巻き・樽巻きなどと呼ばれる根巻きを行う。また、根巻きを行うにあたり、根を切断することは、水分の供給滅をまねき、枝葉からの蒸散作用との間の水分収支が崩れ、枯死する恐れがある。そのため、移植のための剪定(せんてい)、蒸散抑制剤の散布などの手当が必要である。さらに、運搬の邪魔になるぬよう枝しおりなどの荷造りを行い、運搬はトラック・ウィンチ・チェーンブロック・台車・人力などで行う。植付けは、植え穴をバックホー・ホールディカー・人力などで根鉢よりーまわり大きく掘り、クレーン・チェーンブロックなどで樹木を立て込みし、根鉢と周囲の土壌をよく密着するよう水極めあるいは土極めなどの方法により埋め戻す。最後に倒木防止のための風除け支柱、幹焼け防止のための幹巻きなどの養生を行う。移植の困難な樹木は、一般に、根が太根であるもの、剪定後の萌芽性が弱いもの、その他樹液内に油脂、タンニン、糖分の多いものなどである。例えば、ユーカリ・カナメモチ・トベラ・ウバメガシ・タイサンボク・ハクレン・コウヤマキなどが挙げられる。これらの樹木の移植にあたっては、根回しを施し、細根の発生をみてから、移植することが必要である。移植の適期は、樹木の生長活動が不活発な時期や休眠期すなわち、新芽の出る前、新葉の展開直前、新葉が充実した時期、自然に落葉しはじめた時期、落葉後の時期などであり、酷暑や極寒の時期は除く。東京地方における移植適期は、針葉樹類が2月下句から4月下旬、梅雨期、9月中旬から10月中旬、常緑樹類が3月上句から4月上旬、6月上句から7月上旬、落葉樹類が10月中句から12月上句、2月下句から3月下旬である。
五十音順
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た ち つ て と
な に ぬ ね の
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ま み む め も
や ゆ よ
ら り る れ ろ
わ