意味 |
石を積み上げて築造すること。囲いの垣と壁を石垣(stone wall)というが、造園工事では石 積工として土止めに多く用いられる。石積みはのり勾配が1割つまり45度より急なものをいい、それ以下の緩やかなものを石張り (pitching)といって区別している。しかし、のり勾配に関係なし垂直面や斜面に板状の石材をモルタル等で張ることを石張り、水平面状に張る場合を平張りと呼んで用いることもある、石積方法として、いろいろな分け方、種類があるが、大きく空積みと練積みとに分けられる。空積みは石を積んでいくのにモルタルやコンクリートを全く使用しないで、裏込めに栗石・目つぶし砂利を用い積み上げる方法である。空積みは裏込め内に流れこむ雨水・ゆう水等は石と石とのすき間より流出し水はけがよく土圧を増大させないが、空積工自体の強度は弱いとされている。しかし、造園独特のくずれ石積のような伝統的な念入りの積み方をすれば堅固なものを築造できる。石積みに際し控尻(ひかえじり)までコンクリートを填充するものを練積みという。練積みには目地にモルタルを使用するもの、胴飼いの目つぶしにコンクリートを用いるもの、また裏込めをコンクリートとするものがあり、これらを含めていうが、目地にのみモルタルを用いるものを合端練積みと呼んでいる。練積みは壁が一体となって強度を増し安定度は高い。しかし高さが高くなると壁全体として強度がおちるので、小段を設けたり、基礎・裏込めの構造を大きくするなどの注意と、水抜きおよび伸縮目地が必要となる。石積工は理論的解析に基づく構造設計法がないので、伝統的工法による経験と重力式擁壁の構造設計法を参考として検討されているが、「建築基準法施行令」第142条によると、高さ2mを超える石積擁壁は練積みでないと認められない。造園における土止め擁壁は自然の地形を生かし最小限度内の無理のない造成を行うので、あまり高い土止め擁壁は用いられることが少ないので、自然石による石積擁壁が望ましく景観上効果的である。石積みは築石材の形状により、組石積み、野面石積み、割石積み、玉石積み、切石積み、間知石積みに、積み方により、谷積み、布積みに分けられる。特に外観に重きをおかない実用向きの場所に粗石積み、野面石積みと間知石積みの中間に位置する割石積み、各面とも凹凸の少ない直六面体石で石質の硬軟により形状寸法も異なるが、目地が規則的に出る積み方の切石積みは建築構造物に多く用いられる。谷積みは乱層積みともいい、野面石・粗石・間知石等と築石材として石の大きさ・形状により谷形のあるようにするので、石相互のかみ合せにより全体がよく締まるので高く積み上げられる。布積みは整層積みとも呼ばれるように切石・角石等に用いられ、規則正しい層に積み上げる方法である。また谷積みと布積みとの中間的な方法で亀甲形の石材を用いた亀甲積みがある。石積み各部にそれぞれ名称があるが、石を積み上げて最頂上におく石を天端、納まりの形状で三角、五角、夫婦天端と呼ばれる。石または石積みの奥行合端から控尻までを控え、控え長といい、石積みの背後に詰め込む石を裏込め石、石と石との接する部分を合端、空積みにおいて垂直に見て石控えの小口に近い方に飼う石をとも飼、平面にて石控えの小口に近い方に飼う石をせり飼と呼ぶ。 |