意味 |
施工管理の要素の一つで安全を追求する管理業務。労働者の就業に係る建造物・設備・原材料等、または作業行動その他の業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、または死亡することを労働災害というが、建設工事の現場は労働災害の発生率が高く、他の産業の職場に比べて多くの危険があるので、安全管理について関心を深め、労働災害の減少、絶滅に努める必要がある。安全管理においては作業条件や施設だけを改善しても、管理体制の充実、安全教育の徹底がなければ効果は望めないし、また精神面だけ強調しても効果は少ない。安全の要素としては作業環境・機械設備・保護具などの物的要素と、労働者の安全意識・健康・技能や職場の組織など人的要素とがある。労働者の不注意による不安全行動は労働災害の要因の一つであるが、災害の防止を人間の注意力に依存しても効果を期待できない。安全管理の効果をあげるために安全管理体制を充実し、予測される不安全状態・不安全行動に対する重点管理目標を設定して安全対策をたて、必要な基準や予防措置を計画して、それを関係者全員に周知徹底、確実に実施する。その過程で各種法令による規制事項を遵守するべきである。「労働安全衛生法」は、「労働基準法」と相まって労働災害防止基準の確立、責任体制の明確化等労働災害の防止に関する総合的計画的な対策の推進により労働者の安全と健康を確保し、快適な作業環境の形成を促進することを目的としており、そのなかで安全管理と衛生管理を一括する安全衛生管理体制について規定している。「労働安全衛生法」は安全衛生管理について各企業の事業場ごとに次のような管理担当者や調査審議機関の設置による管理体制の整備充実を義務づけている。管理担当者として総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医、作業主任者、調査審議機関として安全委員会、衛生委員会、これらは元請業者・下請業者にかかわらず企業ごとに整えなくてはならない。作業主任者は政令で定める作業、すなわち地山の掘削作業、土止め支保工作業、型枠支保工の組立て等の作業、足場の組立て等の作業などについて、労働基準局の指定する技能講習を修了した者のうちから当該作業の区分に応じて選任され作業の指揮をする。元請業者すなわち特定元方業者は統括安全衛生責任者を選任し、下請業者間の調整をして現場全体の安全衛生を統括管理する責任が課せられている。下請業者の側は、安全衛生責任者を置き、統括安全衛生責任者との連絡に当たらせる責任がある。安全対策としては労働者に関して安全教育・安全行事により安全意識の高揚を図ること、機械類・工具・仮設物・工事用工作物などの設備に関して、安全点検・予防措置をすること、作業環境に関して安全通路の確保、降雨・強風に対する対策、作業の騒音・振動への配慮、高所作業など特殊な状況下にあるものへの特別な注意、が挙げられる。造園工事における高所作業としては、樹上作業、脚立・脚立足場作業、梯子作業などがある。また建設工事における労働災害は、建設機械または運搬交通関係によるものなど各種の機械に関連する災害が多いので、特に留意して対策をたてる。 |