造園用語集

庭園構成


造園用語集

て

庭園構成

項目 庭園構成 / ていえんこうせい
英語 composition of garden
意味 庭園の諸要素およびその空間を構成する原理。庭園を平面的に構成する要素は、樹木や地被類が植わる植栽地、池や流れなどの水面、砂利や石材が敷かれた舗装面、建物が占める建ぺい面、その他から成る。これらの要素の割合と形により、庭園の平面構成が決まる。例えば、舗装面が大部分を占め、その中に整形の水面とわずかの植栽地が入ったものが、パティオ式庭園。植栽地と水面とでほとんどすべてを占め、その形が自然な曲線によるものが、イギリス風景式や日本の林泉庭園。このように、整形式・非整形式といった庭園の形式も、その構成面からみると、構成素材の質と量そしてその形によって決定されている。日本庭園などはその構成要素の質・量・形とも多様、多量、多岐にわたっているが、フランス整形式庭園などは花壇が中心となり、平面的に単純な図案的構成により成立している。こうした平面的構成のほ かに、立体的に庭園の構成を支配する要素もある。建築空間を構成する天井・壁・床と同様のもので、庭園の覆いとなる天がい、囲みとなる壁や塀、床となる地面である。これらの要素の変化により、空間の構造が立体的に変化する。天がいの有無によっては室内外の違いが、囲みの有無によっては中庭式か否かが、地面の高低によっては平面的か立体的かの変化が生まれる。以上挙げた内容が庭園構成の骨格を成す要素であるが、こうした物理的に把握される構成のほかに、庭園内各所に意味をもたせての構成も考えられる。物理的にはわずか三つの石が、象徴として神や仏という精神的には比重の大きいものであったり、高く築いた土の山が霊峰富士を意味したりする日本庭園の例がそれ。西洋庭園においても、オランジュリーのような楽園を象徴した所や、神々の彫像を配した神聖な広場などが設けられたりもする。しかし、こうした精神的に意味をもたせた構成では、日本庭園が際立っている。庭園を八景や十境といった意味のある幾つかの空間により構成したり、東海道など実在する風景を縮景し、そのシークエンスにより空間を構成した手法は、わが国独特のものである。庭園の構成には以上敷地全体にかかわるもののほか、部分や小さな庭では場の空間構成が重要となり、その場のイメージや空間の質を規定することになる。それゆえ、見渡せる範囲の中で平面的、立体的な構成を意識しつつ、実際に体験する空間として、植栽地のマッスと空間の広がりとの割合・形が決められたり、心字池のような広がりを見せるための池の形状が用いられたりといった構成が図られる。また、場に広がりや奥行きを出すために、見えがくれや透かし、遠近法や近景・中景・遠景といった視覚的で三次元的な景の構成を行って、庭園の構成を細部にわたり完成させていく。
五十音順
あ い う え お
か き く け こ
さ し す せ そ
た ち つ て と
な に ぬ ね の
は ひ ふ へ ほ
ま み む め も
や ゆ よ
ら り る れ ろ
わ