造園用語集

庭園


造園用語集

て

庭園

項目 庭園 / ていえん
英語 garden
意味 人間の住生活にとって最小の環境単位として機能する空間。上原敬二によると「人の私的生活の上に使用、享楽の為め、種々の程度に於いて、美観と同時に実用の目的を達するよう設計せられたる土地をいう」としている(「庭園学概要」、1923)。現在、一般には、その土地所有や管理の主体が私的なもの(私園)を「庭園」と呼び、公的なものを「公園」と呼んで区別しているようであるが、公的セクターが経営する公園でも、旧私園を公開している場合に「公開庭園」の呼称が使われたり、新設の公園でも古来の伝統手法が使われたり緻密な意匠で質の高い造園がなされるものに対しては「庭園」の呼称が用いられているので、厳密な用法の区別はない。空間の成り立ちと状態が人々に与える質の問題として「庭園」 を理解すべきである。庭と園は元来は別々のもの、ガーデン(garden(英))も、ガルテン(Garten(独))も、ジャルダン(Jardin(仏))も、日本の「その(園)」に相当し、植物を栽培しあるいは装飾を目的に植物を植えた、囲まれ、区画された場所を意味する。これに対して、「にわ(庭)」は、古代にあっては生活共同体にとって不可欠の広場など人間の生活環境というようような意味をもつ。家庭(house&garden)とか、庭訓(ていきん)、学びの庭など、直接、植物のある庭とは無縁の幅広い意味、しかも人間生活に不可欠の基本的なものとして「庭」の文字が用いられることからみて、その重要性が推定できる。本来別々に存在し、意味あいも異なる園と庭が、一つの言葉として合成されたのは小沢圭次郎の「明治庭園記」(1873)とされ、中国にもこれが逆輸入されて用いられるようになったとされる。しかし、生産を基盤とする植物の存在(自然性)や囲繞(いにょう)により守られた安全な空間と性格(空間性)の「その(園)」、外部のもろもろの要素との有機的結合関係という社会性や眺望性(landscape性)を表す「にわ(庭」)の両義の結合がもつ近代造園上の意義は、中村ーの指摘にもあるように極めて大きい。なお、庭は堂前の空地、園(えん)は樹木、囿(ゆう)は動物、圃(ほ)は野菜を、それぞれ植え囲った場所の意。
五十音順
あ い う え お
か き く け こ
さ し す せ そ
た ち つ て と
な に ぬ ね の
は ひ ふ へ ほ
ま み む め も
や ゆ よ
ら り る れ ろ
わ