造園用語集

地被植物


造園用語集

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地被植物

項目 地被植物 / ちひしょくぶつ
英語 ground cover plants
意味 地表面を低く広がり、緻密に覆うよう生育する植物。造園上地被植物、あるいは単に地被という。地被というと広く植物以外の造園材料を包含する場合もあるが、一般には地被植物を指す。江戸時代には、地被植物と同様な目的の植栽に、覆裁という語が用いられ、その大面積利用には、芝・笹・蘚苔(せんたい)類等が用いられ、小面積あるいは部分的には、ヤブコウジ・ヒサカキ・クマザサ・プンゴザサ・コケ等が用いられた。利用される植物の生育型は、主として匍匐(ほふく)型・横臥型・纒絡(てんらく)型(纒繞(てんにょう)・攀縁(はんえん))・懸崖型のもの、およびその他の型に属しても草丈の低いもの、あるいは刈込みによって容易に草丈を低く維持することが可能な造園植物を総称して、地被植物という。もちろん、地表を低く広がり覆う目的をもつものであるが、その草丈は覆栽面の広さと相関関係をもつものであり、一概には規定できない。しかし、あくまで密度高く群植されなければならない。このような条件にあてはまるものとして、広義には、芝草類その他匍匐ないし横臥性草本、小笹類、低(灌)木類、つる物類、コケ類、シダ類などが包含されるが、狭義の場合は、芝草類(芝生用植物)を除いている。これは地被植物のなかでも、特に芝生用として適する植物が選び出され、芝生用植物として利用上さらに重要性を増し、従来地被植物のー構成要素であったものが、地被植物・芝生植物 (芝生用植物)と両者が同列のランクに置かれるようになったためと思われる。地被植物はその植栽のもつ機能から、観賞用地被(観賞利用)、運動・休養・遊戯用地被(踏圧利用)、地表面保護用地被(土壌表面の防護利用)、農業用地被(地力向上?生産向上利用)とに類別される。観賞用地被とは、その植栽面上を行動することなく、地被植栽面が美しく(葉・花・果実・草姿等)観賞のみに供される地被植物で、大面積の植栽、小面積(局部・アクセント)の植栽とを問わない。また、その草丈も植栽面積との比率によって地被の効果が期待されるわけで、必ずしも低い刈込みを必要としない。特殊な場合を含めて草丈は1m以下。要すれば 30?50cm以下の草丈のもの、あるいは刈込みによって容易にその程度に草丈を維持できるものが望ましい。ー般に庭園等で常識的に考えられる植栽材料として、芝類・コケ類・シダ類・リュウノヒゲ・ディコンドラ・フッキソウ・ヤブコウジ・サカキ・ハイネズ・ツツジ類・コトネアスター類・ツゲ類その他低(灌)木類、小笹類、下草として用いられる草花類・つる物類等が挙げられる。なお、アラカシ等のように実生(みしょう)刈込みによって効果の挙げられるものもある。運動・休養・遊戯用地被とは、主として植栽面上を運動・遊戯のため利用される地被植物で、激しい踏圧を受け、草丈も5cm以下(ゴルフ場のグリー ンでは5mm内外)に刈り込まれるので、刈込みや踏圧に強く、かつ茎葉は適度に柔らかく、.葉は細密で、緻密に地表面を覆い全体的感じが美しいものが望まれる。これに該当する植栽材料としては、日本芝・西洋芝等のイネ科植物が主体で、時にクローバー類やリュウノヒゲ等も用いられる。地表面保護用地被とは、海浜・埋立地等の飛砂防止、盛土・切土のり面等の浸食・崩落防止等の目的のために用いられる地被植物で、草本と木本とを問わず急速に土壌が保護、保全されることが必要で、地表を密に覆い地上部・地下部の広がりが大で、根群が密で土をよく締めつけるもの、養・水分の要求度が少なく悪環境に耐えるものが望まれ、主としてイネ科・マメ科の植物のなかから選択される。農業用地被とは、土壌浸食防止と併せて地力維持、向上を兼ねて用いられる地被植物をいい、農業上は被覆作物(cover crop)という。マメ科植物にその例が多い。
五十音順
あ い う え お
か き く け こ
さ し す せ そ
た ち つ て と
な に ぬ ね の
は ひ ふ へ ほ
ま み む め も
や ゆ よ
ら り る れ ろ
わ