造園用語集

工場緑化


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工場緑化

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項目 工場緑化 / こうじょうりょっか
英語 -
意味通常特異な景観を有する工場施設の遮へい等の工場の修景や、工場労働者への憩いの場の提供等、多様な目的のために行う工場敷地レベルて?の緑化。工場造園と呼ばれることもある。緩衝緑地が土地利用レベルの緑地造成であるのに対し、こちらは、個々の工場画地レベルの緑地造成である。また、インダストリアルパークが緑豊かな工業団地への抜本的対応であるのに対し、工場緑化は、どちらかというと対症療法的緑化の意味で用いられることが多いと言えよう。工場緑化を自治体として本格的に推進したのは神奈川県においてであっ て、1935(昭和10)年ごろのことである。その後、この種の工場緑化が盛んに行われるようになったのは、昭和40年代に入ってからのこと。特に1974(昭和49)年に一定規模以上のすべての新設工場に緑化を義務付けるように「工場立地法」が改正され、本格化した。また、地方公共団体においても相前後して工場緑化にかかわる条例あるいは要綱が制定された。工場緑化を実行するにあたり留意しなければならないことは、緑化の量と質の問題である。緑化の量、すなわち工場の敷地面積に対する緑化面積の割合については、「工場立地法」では、「敷地面積9,000m2以上、または建築面積の合計が3,000m2以上の工場の新設に伴い、緑地の面積は敷地面積の20%以上、緑地と緑地以外の屋外運動場、広場、池、噴水などの環境施設を併せた場合の面積は敷地面積の25%以上」と定めている。また、各地方公共団体の条例や要綱においては、おおむね新設工場の場合は20%、既設工場の場合は10%を緑化面積に充当することが定められている。緑化の内容については、「工場立地法」では、施行規則に細かに定められており、あるいは各地方公共団体においては、条例・要綱の植栽基準によって単位面積当りの植栽本数をおおむね10m2当り高木1?2本、低木2?4本程度と定めている。以上のように、工場緑化にあたっては [工場立地法」、あるいは条例・要綱に従い、規定の緑化の総量を確保することがまず要件となる。次に考えなければならないこととして、いかに快適で機能性の高い緑を工場敷地内に適正に配するかという、いわば緑化の質の問題がある。工場内には様々な施設、空間があり、また緑化に求められる機能も防災、防火、防塵、生活環境の保全、遮へい、休息の場の提供、修景など極めて多様である。したがって、緑化にあたっては事前に十分な植栽ゾーニングを行い、全体的な景観の調和を常に意識しながら、各施設、各空間に合致し、しかも求められる機能が十分発揮されるように緑化の方式を考えなければならない。また、工場の種類、性格、立地条件によっても、特に留意しなければならないことがある。例えば、精密機械工場、食品工場、医薬品工場等の清潔さを要求される工場においては、防塵を目的とした緑化が必要となる。すなわち、工場内においては、極力、裸地をなくすために芝生が造成され、工場の外周には外部からの塵換を防ぐための樹林帯の設置が必要となる。火災・爆発の恐れのある工場においては、その被害が周辺の生活環境域へ波及しないように、外周に防災・防火を目的とした樹林帯が造成されなければならない。逆に石油工場などにおいては、火災の誘発や延焼の原因となるような植物の使用は避けるなどの配慮も必要。 さらに、近年、臨海部の埋立地に工場が建設される場合が多いが、このような場所を緑化するにあたっては、潮風から工場施設を守るための防潮植栽が必要となり、植栽する植物も耐潮性に富むものでなければならない。このように、工場緑化には種々の重要な機能が課せられているが、これらの機能は緑化した植物の健全生育があって初めて発揮されるものである。したがって植物の健全生育を促し、緑化に課せられている機能を十分発揮させるためには、事前の周到な植栽基盤の整備が欠かせない。
五十音順
あ い う え お
か き く け こ
さ し す せ そ
た ち つ て と
な に ぬ ね の
は ひ ふ へ ほ
ま み む め も
や ゆ よ
ら り る れ ろ
わ